もし、抽象的な信仰が、一片の現実の土地を故郷にするとしたら、チベットは最も適宜なところでしょう。ひろびろとしていて、ひっそりとした原野、澄み切った青空、高く険しい、つつしみ深く穏やかな雪山、奥深い広 大な湖、確か人類の荘巌的な真情の昇華する、理想的なところと思われる。

チベット、アジア大陸中心、中国西南辺境に位置し、面積は120万平方km、平均的な標高は4,000m以上、人口はわずか280万人、世界の中で最も人口密度の低いところである。ここは、神秘的な土地、数億万の信者たちが「聖なる魂の存在する」世界の中心と尊崇している。大昔から、神奇な色彩が満ちるヒマラヤ山脈;何億万年絶え間なく跳ね上がるヤルンツァンポ川;心におびえる世界の屋根の上の屋根──アリ‥‥‥人々が敬虔な(ひれ伏にして)祈りを捧げないものはない。

真っ白な雪と深淵なる波の光の暗示から、山と湖の間にあるお寺から漂ってくる読経の声から、われわれは自然の神々と哲人智者の教え導きから──悟った。雄大ないにしえのグゲ王朝遺跡の前に、過ぎ去った時の流れが、ゆるやかにうずまいてくる‥‥‥

青いさざなみが揺れ動いている高山に、青い湖の上にはつらつとしている精霊が真っ白な羽をばたつかせて、大地の霊感を導いて天国にあがり‥‥‥群れなす馬がとび跳ねる草原に、豪放剽悍な嘶きを聞いて、われわれは陶然として古朴気風への敬慕を生み出す‥‥‥

チベット──

道のり峻険(苦しい)の故に冒険者たちの憧れとなり;湖の光、山の色の故に観光者たちをうっとりさせ;数多く豊かな遺跡の故に学者たちが探し求め;神霊のある故に參拝者たちの信仰心の極致となる。


―――チベットカム山岳研究会・最終更新日:2012年1月1日―――
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