Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

・トンシャン(東郷)族 ・

 モンゴル語群の民族のなかの、トンシャン族、ボウナン族、トゥー族は、中国西北部の甘粛省、青海省に居住している。このなかで、トンシャン、ボウナンの2つの民族の言語はよく似ており、互いに日常会話での交流が可能である。多くの人々は漢語を兼用し、漢字を使用する。両民族は、ともにイスラム教を信仰し、居住地区の各集落にはすべてモスク(イスラム教寺院)が建てられており、お経を唱え礼拝を行う。また子供は経典を学び、モスクは文化活動や議事の中心となっている。1990年の人口調査によれば、トンシャン族の総人口は37万3669人である。

 トンシャン族の言語は、下位集団内での違いはわずかであり、方言の区別はない。固有の文字は持っていない。長い期間、甘粛省古河州のトンシャン地域に住んでいたため、民族名称がトンシャンとなった。また人によって東郷回、蒙古回回と呼ぶことがあるのは、生活習慣や宗教・信仰の面で、中国西北部に居住する回族に似ているためであり、したがって、イスラム教を信仰している者が多い。またこの集団を東郷土人あるいは東蒙古人と呼ぶ人もいるが、これはトンシャン語が基本的にモンゴル語に相似しているからである。

 トンシャン族はサルタと自称するが、これは中央アジアのサマルカンド一帯の地名である。漢籍史料の記載によれば、1220年代、チンギス・ハンが騎馬隊を率いて中央アジア征討を行った際、サマルカンドヘ討ち入り、サルタ撒爾塔部族を解体させ、撒爾塔人をモンゴル軍に編入させるか、あるいは単独で簽軍を編成し、東へ移動させて河州一帯に駐屯させた。その後、当地のイスラム教徒の色目人を中心として、一部のモンゴル族、漢族と融合し、トンシャン族が形成された。しかし、中華人民共和国成立前までは、回族などの有力支配階級のもとで、奴隷的立場に置かれていた者が多かった。トンシャン族は、おもに自給自足の農業やヒツジの飼育を主とした放牧に従事している。主食は漢族が麺糊などと呼んでいるチンクームギやダイズなどを煮たものである。羊毛でフェルトをつくったり、綿布を織ることができ、また皮で裏皮をつくるが、これらは独特の家庭の副業となっている。宗族観念が強く、居住している集落では、単一の性あるいは宗族によって一つの集落をなすのが一般的である。多くの場合、一つの集落は十数戸もしくは100戸はどの戸数によって構成され、全構成員が一つの姓で、集団内部の団結力が非常に強いことを証明している。家庭内では老若男女の厳格な礼節の決まりがあり、女性の地位は低い。人々は労働の合間に、高くよく響く声で⊥小ワール民族歌「花児」を歌うのを好み、各集落には必ず人気のある花児歌手が少なからずいる。(索〕

『中国少数民族事典』(東京堂出版 2001年)

写真は「中国各民族」中国民族撮影芸術出版社による


BACK

――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2003年3月8日――――