Gesanmedo ――Tibetan Highlands Elementary School Construction Fund NPO

 

・ユーグ(裕固)族・

 ユーグ族は、人口の90パーセント近くが甘粛省西北部の粛南ユーグ族自治県、祁連山脈山中に居住している。1990年の全国人口調査では1万2293人である。自称のヤオフアル(堯呼爾)は古代の遊牧ウイグルに由来すると考えられている。中華人民共和国成立後の民族政策のなかで、民族として認定される際に、自称ヤオフアルに基づく形で裕固という漢字表記を自ら採用した。

 明王朝時代、撒里畏兀爾という名称の集団が史料にあらわれる。現在のユーグ族に歴史的につながる人々であると考えられる。モンゴル高原を居住地とした遊牧ウイグル集団が九世紀に分散したあと、河西地区に移住したカンテョンウイグル一団は甘州回鶻と呼ばれた。撒里畏兀爾は、その甘州回鶻の流れを汲む集団であった可能性がある。彼らは明王朝時代に、嘉略関外から東方の粛州および甘州南山(祁連山一帯)に移住したとされる。

 現在のユーグ族は、生業として、祁連山中における畜牧業(遊牧および定住牧畜)を主としている。基本的にチベット仏教(ラマ教)のゲルク派に属している。ゲルク派は黄帽派とも呼ばれ、厳格な戒律の保持、道徳的教義で知られる。ただしハンテングリ(=天)信仰と、それに基づく宗教儀礼も部分的に残存する。なお、ユーグ族が使用している言語は、モンゴル語群の東部ユーグ語と、チュルク語群の西部ユーグ語とに分かれ、その使用人口はだいたい半々である。東部ユーグ語を使用する集団については、チュルク語群の言語を話す集団が、周囲の集団の影響によりモンゴル化したものか、モンゴル語群の集団が、チュルク語群のユーグ集団に加わり、同じユーグを自称するようになったものか、のどちらかと考えられる。〔新免〕

『中国少数民族事典』(東京堂出版 2001年)

写真は「中国各民族」中国民族撮影芸術出版社による


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――――BBC世界の屋根探険会 烏里 烏沙 制作・2003年3月8日――――